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「スミスマシンは甘え」という言葉を聞いて、トレーニングのやる気を少し失っていませんか?ジムでスミスマシンを使っていると、フリーウェイト(バーベルやダンベル)で力強く鍛えている人からの視線が気になるかもしれません。
しかし、結論から言えば「スミスマシンは甘え」というのは大きな誤解です。トレーニングの目的やその日の体調、個人のレベルに応じて役立つ優れたマシンなのです。
まずは、なぜスミスマシンが「甘え」と言われてしまうことがあるのか、その理由と、それがどうして誤解であるのかを詳しく見ていきましょう。
スミスマシンが「甘え」と見なされがちな背景にはバーベルやダンベルを使うフリーウェイトトレーニングとの比較があります。
スミスマシンの最大の特徴は、バーがレールに沿って動くため、軌道(バーの動く道筋)が固定されている点です。
フリーウェイトのように、バーが前後左右にふらつくのを自分でコントロールする必要がありません。この点が「楽をしている」「簡単そうだ」と見なされる原因のひとつになっているようです。
フリーウェイトで重いバーベルを持ち上げるとき、私たちは無意識に体を安定させようとします。このとき、「スタビライザー」と呼ばれる体幹やインナーマッスル(体を支えるための筋肉)がたくさん使われます。
軌道が決まっているスミスマシンでは、バランスを取るための筋肉への刺激が少ないと指摘されることがあります。
特にトレーニング経験が長い人や、重さを競うパワーリフティングを行う人の中には、「自分の力だけでバーベルをコントロールするフリーウェイトこそが本物のトレーニングだ」という考えを持つ人もゼロではありません。
そうした考え方から、補助的な機能(軌道の固定)を持つスミスマシンを使うことを「甘え」と捉える風潮が生まれた側面もあるでしょう。
「甘え」と言われる理由は、実はスミスマシンが持つ独自のメリットの裏返しでもあります。トレーニングの効果が劣っているわけでは決してありません。
スミスマシンは軌道が固定されているうえ、セーフティフック(ストッパー)という安全装置がついています。万が一、重さを持ち上げられなくなってもバーが下敷きになるのを防いでくれます。
補助をしてくれるパートナー(スポッター)がいない状況でも、一人で高重量に挑戦したり、「オールアウト」と呼ばれる限界回数まで力を出し切ったりできます。これはフリーウェイトにはない大きな利点です。
バランスを取るために余計な力を使わなくてよいため、意識をすべて「狙った筋肉(主働筋)」に集中させられます。これをアイソレーション(分離)と呼ぶこともあります。
例えば、スクワットで太ももの前(大腿四頭筋)にしっかり効かせたい、ベンチプレスで大胸筋に集中したい、といった場合に非常に有効です。筋肉を大きくする(筋肥大)目的において、とても合理的なマシンなのです。
トレーニングを始めたばかりの人がいきなり高重量のフリーウェイトを扱うと、ケガのリスクが高まります。スミスマシンは、正しいフォームの「軌道」を体に覚えこませるのに役立ちます。
フリーウェイトでの基本動作(スクワットやベンチプレス)を学ぶ前の導入として、またはケガからのリハビリテーションとして使うにも適しています。
スミスマシンは、正しく使えばあなたのトレーニングを助ける強力な武器になります。「甘え」という言葉を気にせず特性をしっかりと理解し、効果を最大化する使い方をマスターしましょう。
便利なスミスマシンですが、その特性ゆえの注意点も知っておく必要があります。
スミスマシンで100kgを扱えたとしても、それがそのままフリーウェイトのベンチプレスで100kgを扱えるという意味にはなりません。
スミスマシンに慣れすぎると、フリーウェイトでバーを安定させるために必要な筋力が育っていない場合があります。その状態で急にフリーウェイトに移行するとフォームを崩したり、ケガをしたりする恐れがあるのです。
もしフリーウェイトに移行する際は、はじめのうちはスミスマシンでの重量より大幅に軽い重量から始め、ゆっくりと慣らしていくようにしてください。
スミスマシンのメリット(安全性・アイソレート)を活かせる、おすすめの種目を紹介します。
スミスマシンは「甘え」ではなく、安全かつ効率的に筋肉を鍛えるためのツールです。
フリーウェイトでしか鍛えにくい要素(バランスを取る安定筋)があるのは事実ですが、スミスマシンでしか得にくいメリット(安全性・高強度での追い込み・特定の部位への集中)も確実に存在します。
大切なのは、他人の目を気にして「甘えかもしれない」と不安になることではありません。自分の目的(筋肥大させたい、筋力を上げたい、安全にフォームを覚えたい)を達成するために、その日に最適な器具を選ぶことです。
それぞれのマシンの特性やトレーニング方法を正しく理解し、自身のトレーニングメニューに賢く取り入れて理想の体づくりを目指しましょう。